村上春樹の色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年を読んで

つくる

↑つぶされたはらぺこあおむしに見えるのは私だけ??

 

 

久しぶりに読書の時間が取れた。ずっと執筆に追われていて読書の時間がなかなか取れず。。

とても好きだった。

村上春樹の本は10代の頃から読んでいて、多分ノンフィクションや翻訳、インタビュー記事を除いてほとんど読んでいる。騎士団長殺しは先日日本で購入してから、まだ読まずにとってある。日本語の本は私にとってとても貴重なのだ!

 

今回とくに偶然にも、故郷である大分がストーリーの中に登場した。おそらく私の大好きな湯布院ではないかと思う。そしてさらに、私の語学学校の友人の出身であるフィンランドも出てきた。彼女と話したことが頭の中をめぐり、フィンランド人の感覚になんとなく共感することができた。(私はまだ行ったことはないのだが)

 

それでも最も共感したのは、主人公のつくるが初めて海外旅行、しかもフィンランドに行き、一人で食事をしている時にふと、「自分が異邦人であることの孤独感」を心地よく感じるというシーンだ。

 

私が一人で初めてロンドンを旅した時と同じ。日本で一人でいると、なんとなく居心地の悪さを感じ、途方もない孤独感を感じてしまうこと。でも海外なら、周囲の雑音や会話は全く未知のものであり、それは日常とかけ離れている。

 

ああ、私は一人で当たり前。私は一人でここに来て、見知らぬ言語をしゃべる人たちの中に身を置いている。そのことが妙に心地よい。そんな気分を久しぶりに思い出した。

 

その時、私はイギリスで結婚して子供を産み、ここに住むことなど考えていなかったから、その孤独感が何だか誇らしく、とても素晴らしいことに思えた。一人だけど、私は日本の代表であるような、一人で冒険をしているという興奮、アドレナリンに支配されていたのだ。

 

そんな気持ちはどこに行ったのだろう。私は今でもロンドンに行くし、もちろん一人で行動することだって、前ほど多くはないけれど、ある。それでも以前のような、自分が異邦人であるという不思議な孤独感や達成感はもうない。

 

むしろ日本に行った時、友人と話をしている時、便利なコンビニに足を運ぶ時、人知れず違和感や感動を覚えていた。そんなことは周囲の人は知る由もない。

 

村上の本はつねに孤独をテーマにしている。その孤独感は、似ているようで毎回種類が違っている。

 

私の孤独感はつねにここにある。それは現在、私は日本人であって日本人には戻れず、そして永遠にイギリス人にもなれないということだ。私はその中間にいるわけでもなく、状況によってつねにその境目をふらついている。自分の意見がなくなったような、どちらの側にもつけないようなもどかしさを感じる。

 

友人と話していて、ちょっと違うなと思っても指摘できない。変わったのはきっと私であって、彼女たちはずっと前から同じように私に接してくれているのだから。

 

私はそれでも何ができるのか考える。中間にいるからこそできることはなんなのか。

 

つくるは昔の友人クロに会って彼自身を認めてもらい、ガールフレンドのエリに励まされる。けれどそれは彼が本気で行動を起こしたからだ。

 

私には何ができるのだろう。ずっと考えてきたような気もするし、今やっと考え始めたような気もする。

 

夫は現在海辺のカフカ、英語版を読んでいる。私に勧められたからだ。とにかく、本の感想を一緒に語り合える人がいるというのは、本当に幸運なことだと思う。

 

Author: kanashuto

イギリス在住のフリーランスライターです。イギリスに関するコラム、健康、美容記事、その他どんなライティングでも、ご要望に合わせて執筆しています。 趣味は小説を書くこと、読書です。イギリス生活での何気ないことを書いて、楽しんでもらえたら幸いです。

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